乳がんとは

日本女性に急増している乳がん

日本女性に急増している乳がん現在では、日本女性のがん患者数で乳がんが第1位であり、日本人女性の20人に1人が乳がんを経験するとされています。
そして、乳がんにかかる方は増加傾向にあり、日本の乳がん罹患(りかん)数は7万人を超えており、死亡率も年々増加しています。乳がんは女性ならば誰もがかかる可能性のある病気なのです。
中高年層の罹患が多いことが特徴になっており、最も乳がんになりやすいのは40歳代ですが、20代から発生するケースもあります。20代の乳がんはほとんどが、遺伝性によるものですので、血縁で乳がんになられたご家族がいらっしゃる方は20代の健診をお勧め致します。

乳がんとは

乳房には、母乳をつくる小葉と母乳を乳首まで運ぶ乳管で構成された乳腺という組織があります。この乳腺に発生した、悪性の腫瘍が乳がんです。

乳がんは大きく分けて「非浸潤がん」「浸潤がん」があります。「非浸潤がん」はがん細胞が乳管内にとどまっているもので、「浸潤がん」は癌細胞が乳腺から外に出て周囲に広がったものです。

乳がんはゆっくり進行していきますが、放置していると増殖したがん細胞が乳腺から血液やリンパ管を通って全身に広がってしまいます。早期に発見して適切な治療を受ければ、命や乳房を失うことなく治せるケースがほとんどですから、乳がんは早期発見がとても重要なのです。

乳がんのステージ

I期

しこりの大きさが2cm以下で、脇の下のリンパ節に転移していないものです。

IIa期

しこりの大きさは2cm以下で、脇の下のリンパ節に転移があります。しこりの大きさが2cm~5cmで、脇の下のリンパ節に転移がないものも含まれます。

IIb期

しこりの大きさが2cm~5cmで、脇の下のリンパ節に転移があります。しこりの大きさが5cm以上で、リンパ節に転移がないものも含まれます。

IIIa期

しこりの大きさが2cm以下で、脇の下のリンパ節に転移があり、リンパ節同士の癒着や周辺の組織に固定しています。脇の下のリンパ節への転移がない場合でも、胸骨の内側のリンパ節が腫れているものも含みます。また、しこりの大きさが5cm以上で、脇の下か胸骨の内側のリンパ節に転移が見られるものもこのステージです。

IIIb期

しこりが胸壁の内側にしっかりと固定していたり、皮膚にしこりが出たり、皮膚が崩れたり、皮膚がむくんでいる炎症性乳がんです。しこりの大きさや脇の下のリンパ節の有無には関係ありません。

IIIc期

脇の下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移のあるものや、胸骨の上下にあるリンパ節に転移があります。しこりの大きさには関係ありません。

IV期

乳房とは違う臓器である骨や肺、肝臓、脳などに転移しているものです。

乳がん死亡数の推移

もともと乳がんは欧米人に多いがんですが、欧米では死亡率が年々低くなってきています。欧米の乳がんによる死亡率低下は、乳がん検診率が70~80%もあることがその要因と考えられています。

一方、日本人の死亡率はまだ低いのですが、年々増加しています。これには、日本の乳がん検診率が34.2%程度と低く、それにより早期発見と治療ができていないことが関係していると考えられています。

乳がん検診で出てくる「石灰化」とは

「石灰化」は乳がんによる副産物である可能性があるため、マンモグラフィ検査ではこれを丁寧に探していきます。当院で導入している最新機器は精密なマンモグラフィ検査ができるため、早期乳がんの特徴である微細石灰化を映し出すことも可能です。

良性の石灰化

母乳が通る乳管に沿った部分や、母乳を作る腺葉の分泌液に生じた沈殿物によって形成されたものは良性の石灰化です。ほかに、線維腺腫などによって生じるケースもあります。

乳がんと関連のある石灰化

がん細胞が増殖する際の分泌液や壊死によって生じる石灰化です。マンモグラフィでは、腫瘤や乳腺組織の解剖学的構築の乱れからがんをみつけることもできますが、石灰化はかなり初期の乳がんを検出できるため、特に重要視されています。

乳がんリスクについて

乳がんの発生には、遺伝的な要因と環境的な要因があり、これまでの研究の結果、乳がんにかかりやすいさまざまな要因がわかってきています。こうしたリスクファクターをチェックして、ご自分に合った検査タイミングを知っておきましょう。

1. 食生活リスク

  • 肥満(特に閉経後の肥満は要注意です)
  • 飲酒

2. 生活習慣リスク

  • 喫煙
  • 糖尿病
  • 乳腺濃度が高い
  • ホルモン補充療法(エストロゲンとプロゲスチンの併用)
  • 経口避妊薬を長期間に渡って服用

3. 妊娠・月経リスク

  • 出産経験がない/授乳経験がない
  • 初産年齢が高い
  • 初経年齢が早い/閉経年齢が遅い

4. 遺伝リスク

  • 血縁者に乳がんや卵巣がんを経験した人がいる
    出典:日本乳癌学会 患者さんのための乳がん診療ガイドライン(2016年版)

乳がんのできやすい場所

乳がんのできやすい場所乳がんの約半数は、乳腺が多い乳房の外側上部に発生し、次に多いのが乳房内側上部、外側下部となっています。
乳がんの初期に痛みはほとんどなく、根がはっているようなかたいしこりが多くみられます。
ただし、かたさや症状はそれぞれかなり違いますので、しこりのようなものがあったら必ず専門医に相談してください。また、しこり以外にもすぐに専門医の診察を受ける必要がある症状があります。

たとえば、

  • 乳頭から血液が混ざった分泌物が出ている
  • 乳頭の陥没や変形が起こった
  • ただれが起きた
  • わきの下にしこり
  • 皮膚のくぼみがある

などに気付いたら、必ず受診してください。

ただし、最新のマンモグラフィ検査では、しこりが現れる前の超早期乳がんの発見ができ,その段階でしたら安心して乳房の大部分を残す乳房温存手術を受けられます。そのためマンモグラフィ検診が推奨されているのです。